https://schoo.jp/biz/column/1271#C.I.バーナードが提唱した組織の定義づけ
「組織の三要素」は、組織を構築していく過程において念頭に置くべき重要な要素です。この3つの要素を正しく理解し組織運営に活用することにより、しっかりとした組織の基盤が完成し、ブレない組織を形成することが可能となります。 当記事では、「組織の三要素」について詳しく解説するとともに、具体的に組織に導入するためのポイントをご紹介します。
「組織の三要素」とは、「コミュニケーション」「貢献意欲」「共通目的」という3つのエレメントを指し、これらは組織を形成するための重要な条件であるといわれています。 ここでは「組織の三要素」の理解を深めるために、「三要素」が具体的にどのように定義され、それぞれの要素が組織においてどのような役割を担っているのか詳しく解説します。
「組織の三要素」は、アメリカの経営学者チェスター・バーナードが提唱した、組織が成立するために必要な3つの条件のことを言い、別名「バーナードの組織の三要素」として広く知られていますバーナードは、**1938年に出版した著書「組織の役割」**の中で、組織が成立するためには、「コミュニケーション」「貢献意欲」「共通目的」の三要素が不可欠であり、どれか一つでも欠けている場合には不完全な組織として、組織が健全に機能しなくなると定義づけました。加えて、組織とは、2人以上の集まりによる集合体であり、2人以上の人間が何かを成し遂げようとする時に組織が形成されると言及しています。 このように、バーナードが定義づけた「組織の三要素」は、組織の本質を見事に突いており、現代においても組織を構築しマネジメントしていく上で無視することの出来ない基本の大原則とされています。 それでは「組織の三要素」について、それぞれの要素がどういった働きを持つのか詳しく解説します。
組織が成立するための1つ目の要素は、「コミュニケーション」です。 組織においてコミュニケーションは、メンバー同士の情報共有に不可欠であり、コミュニケーションなしには組織が物事を進めることが出来ません。会社というひとつの組織に置き換えてみても、同僚や上司との意思疎通がきちんと取れていなければ、組織全体がまとまりなく非効率でバラバラな状態となってしまいます。 コミュニケーションは組織が機能するための必須条件といえるでしょう。
次に、2つ目の要素は、「貢献意欲」です。 貢献意欲とは、組織の一員が組織に貢献したい思うモチベーションのことを指します。 これには、組織全体に対する貢献だけではなく、チームや仲間に対する貢献も含まれ、組織のメンバー同士が一緒に働き、互いに助け合いながら組織に貢献したいという意欲でもあります。つまり、「貢献意欲」は「協働意欲」と言い換えることも出来るでしょう。 ひとつの組織が組織として確実に機能し、高い成果を出していくためには、この貢献意欲が非常に重要となります。社員が積極的に組織に貢献したいという欲求が欠けていれば、組織として目標を達成できる見込みは極めて低くなり、最後には組織が崩壊してしまうかもしれません。「貢献意欲」は組織が機能するために不可欠な要素です。
そして3つ目の要素は「共通目的」です。 共通目的とは、組織全体が同じ目的意識を持って何かに取り組むことを指します。これを会社に当てはめると、「企業理念」や「経営ビジョン」に該当するでしょう。 バーナードの定義づけに基づいて考えると、組織は同じ目的を持つ人々の集まりによって形成されます。つまり、組織内部において社員が互いに「共通目的」を共有することにより、組織全体が同じ方向性を持って進むことができ、ひとつの組織としてまとまりを持って機能することが可能となるのです。 このことから、「共通目的」は組織を構成するための重要な要素の一つとして考えることが出来ます。
前述の通り、バーナードは組織の概念を、2人以上の人間が何かを成し遂げようとしたときに組織が形成されると言い表しました。それでは、「組織」と「集団」にはどのような違いがあるのでしょうか。 まず「組織」の特徴として、共通目的を達成するために組織内部で綿密な役割分担がなされ、それぞれの活動が調整されていることが挙げられます。これらの特徴は、「分業」と「調整」と呼ばれ、組織が効率的に機能して行く上で大きな役割を果たします。つまり組織とは、組織の三要素により成り立っており、かつ、個々の役割と働きが明確化されることによりひとつの組織として十分に機能すると言えるでしょう。 一方で「集団」の特徴は、集団内における共通目的の有無に関わらず、偶発的に同じ時間に同じ場所に人々が集まっていることが挙げられます。また、集団内の構成メンバーはそれぞれが完全に独立しており、目的達成のために互いにコミュニケーションを取ったり協働作業を行うことは必要条件ではありません。つまり、集団は独立した個々の集まりと言えるでしょう。
組織成立の次に重要課題となるのは、組織を長く存続させることです。 どんなに良い組織が成立しても、その先も上手く機能し続けることが出来なければ、やがて衰退し崩壊してしまうでしょう。 バーナードは、組織成立の三要素に加えて、組織が存続するために必要な2つの条件についても言及しています。そこで、ここでは組織存続に必要な2条件をご紹介します。
組織存続のための1つ目の条件は、内部均衡です。 内部均衡とは、組織内部の貢献度のバランスを表し、メンバーが自分の貢献以上のリターンを受け取っていると考えている状態を言います。
バーナードは、組織が存続していくためには、組織メンバーの貢献意欲を継続的に引き出すことが重要であり、メンバーの貢献意欲を引き出すためには、メンバーを満足させるための誘因(対価)が必要であると考えました。誘因の具体例として、雇用の安定、貢献度に見合った給料・ボーナスの支払いなどが挙げられます。 組織内部において、このような「貢献」と「誘因」のバランスを常に上手く保つことがメンバーの存続、そして組織存続の条件となるのです。